地球儀を回して世界100周

職場や旅先から世界をほんの少しだけチラ見してみる

僕を止めないで

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私にとってフレディ・マーキュリーは物心ついた時にはもう鬼籍に入っている人だった。それでも子供の頃からテレビやラジオで流れるクイーンの曲を当たり前のように聞いて育った。

 

年末にボヘミアン・ラプソディーを観に行って、もう一度観たいとは思っているんだけど結局行けずにいる。多分言ってる間に公開も終わってしまうんだろうな。

映画を見ている間に考えていたことは「人って物事をいいように扱うよなぁ」ということ、そして「世の中ってやっぱり変わりゆくものだなぁ」ということ。

 

映画の中でも言われているように、フレディはパールシー(インドに住むゾロアスター教徒)の家系に生まれた。ゾロアスター教といえば今のイランで生まれた宗教。大学時代の専攻がイラン文化だった私は、ちょっとだけこの話に覚えがあった。現在イランはイスラム原理主義国家で、西洋的な音楽を聴くことは好ましくないとされている。でもクイーンはOKらしい。というのも、フレディのルーツがイランにあるから。イスラム化以降ゾロアスター教徒は迫害されてきたので、何とも都合の良い解釈である。

ちなみに同じイスラム教国の話だけど、サウジアラビアは逆にクイーンを聴くのはダメらしい。理由はフレディがゲイだったから。人間とは自分にとって都合のいい部分ばかり目を向けるものである。

 

もう一つの感想について。

中学生の時キムタクのドラマでクイーンの曲が使われて、フレディがゲイだったことやエイズが原因で亡くなったことはその頃に知った。日本でも感染原因を作った製薬会社に対する裁判があったりして、それと共にようやくエイズに対する正しい情報が発信されるようになった頃だったと思う。でも性的マイノリティに関する知識はほとんどなかった。心理的に受け入れられるかは別の問題だけど、必ずしもみんなが身体と心の性が一緒で、恋愛対象が異性というわけではないということは今では誰でも知っていることだろう。今の仕事を始めてから何人か当事者に出会ったこともあり、少なくても私にとっては大した問題ではなくなった。

 

そして映画の中でエイズを宣告されたフレディが死を覚悟したようなシーンがあるけど、今やエイズは不治の病ではあっても死の病ではない。発病を食い止める薬があることは学校の教科書にも載っている。今の中高生が見ても、もしかするとあの覚悟はピンと来ないものなのかもしれないなぁとぼんやり思った。

 

多くの人が言っているようにライブエイドのシーンが本当に素晴らしくて、リアルタイムであのライブを体験した当時の人がうらやましいと思った。フレディ役のラミ・マレックアカデミー賞を受賞した直後だからか、通勤途中の駅で「Ay-Oh~♪」と叫んでいる輩がいたからなのか、思い出したように映画の感想を書いてみた次第です。

 

タイトルの「僕を止めないで」は「Don't Stop Me Now」の邦題になりかけたそう。

何気に歌詞を読むと「中二病男子か!」と言いたくなるけど、この曲が一番好き。